このつぎの回からいよいよ、
具体的な民法の内容に入っていきます。
その前に、勉強のコツといいますか、
要領よく学習を進めるための心構えを
少しお話しておきます。
世の中のほとんどの人が、
何か新しいことを覚えようとするとき、
前からきっちり、すき間なく
「完璧」に覚えていこうと気構えます。
これを「完璧主義」といいます。
「完璧主義」は長続きしません。
たとえば学生時代、日本史の勉強で、
縄文時代は完璧に覚えたのに、
平安、鎌倉あたりからだんだん嫌になって
挫折した…
という方は少なくないかと思います。
一方、要領よく勉強する人は、
本格的な勉強に入る前に、
全体像を把握してから始めます。
電車の駅を始発の駅から終点の駅まで
順番に覚えるとき、
最初から一駅ずつ覚えるのではなく、
始発駅から終着駅まで、
まず、特急が止まる駅を先に覚えて、
そのあと各駅停車の駅を覚えていく、
というイメージです。
民法の勉強をするときも同じです。
まず「民法の地図」を頭に入れます。
民法は、大きく3つに分かれていて、
最初に全体に関連することを
「総則」という形でまとめてあります。
そのあと前半が「財産」、後半が「家族」
に関するルールが並んでいます。
さらに「財産」のルールは「物権」「債権」、
「家族」のルールは「相続」「親族」と
それぞれ2つずつに分かれています。
つまり、民法は、
「総則」「物権」「債権」「相続」「親族」の
5つで構成されています。
最後の「親族」に関しては、
宅建試験で直接問題になることはありませんが、
「相続」を理解するときに必要な知識も含まれています。
基本書の「目次」を眺めてみましょう。
「権利関係」というところに
「民法」の説明が書いてあります。
制限行為能力者~時効・・・このあたりが「総則」
それに続いて
「物権変動」~「抵当権」・・・このあたりが「物権」
「債務不履行」~「不法行為」・・・これが「債権」で、
最後に「相続」が載っているのが一般的な基本書です。
権利関係は、この他に「借地借家法」「区分所有法」や
「不動産登記法」などもありますが、
これらは「民法」に関連する別の法律になります。