前回は「善意」と「悪意」について解説しました。
「善意」は、知らないこと・信じていること、
「悪意」は、知っていること・信じていないこと
という意味でした。
民法では、「悪意」の人よりも「善意」の人を守る、
つまり「善意」の人が有利になるように作られています。
民法という教科を勉強するときは、
どっちを有利にすると、誰もが納得できるか?
民法はどちらを守るべきか?
という視点で考えると、理解が進みます。
どっちを有利にした方がいいか?
どちらが守られるか?
の判断基準として、「善意」「悪意」の他に、
「故意」「過失」というのがあります。
この言葉は、日常で使っているとおりの意味です。
「故意」は、わざと、「過失」はうっかり、
ということです。
たとえば、AさんがBさんを
車でひいてしまったとき、
わざと(故意に)ひいた場合と、
うっかり(過失で)ひいてしまった場合では、
どちらの方が重い罰を与えられるか?
普通に理解できるかと思います。
ただ、過失でも、
重い過失(重過失)と軽い過失(軽過失)に
分けて考え場合があります。
一瞬、太陽の光が目に入ってしまい、
運転操作を誤った、と言う場合は「軽過失」
になるかもしれませんが、
スマホでゲームをしながら運転していて
人をひいてしまった、というなら
「重過失」となるでしょう。
当然、「軽過失」より「重過失」の方が、
罪は重くなります。
過失がないことを「無過失」といいます。
民法が守る順番をまとめると、
善意・無過失が一番で、そのあとは、
善意・経過過失→善意・重過失→悪意→故意
となります。
「悪意」より「故意」の方が不利になります。
「悪意」は、知っている・信じていない
というだけで、
相手に損害を与える意思があるとは限りません。
それに対し、「故意」の人は、
相手に損害を与える意思があるので、
「悪意」の人より守ってもらえなくなるのです。