AさんがBさんに100万円貸しています。
つまりAさんはBさんに
「期日になったら貸した100万円を返せ」
と言える債権を持っています。
そのAさんが
Bさんから100万円の車を買いました。
つまりBさんはAさんに
「期日になったら車の代金100万円を払え」
と言える債権を持っています。
この場合、
BさんがAさんに借りた100万円を返して、
AさんがBさんに車の代金の100万円払うと
お互いの債権・債務はなくなります。
しかし、そんなことをしている時間と労力、
銀行手数料や交通費などが無駄なので、
どちらか一方が
「お互いに払ったことにしようぜ」
と言って終わらせることもできます。
これが「相殺」です。
「お互いに払ったことにしようぜ」
と言い出した人の債権のことを
「自働債権」といいます。
もしAさんが言い出しっぺなら、
Aさんの「お前に貸した100万円返せ」という債権が
「自働債権」であり、
Bさんが言い出しっぺなら、
Bさんの「車の代金100万円払え」とい債権が
「自働債権」となります。
「自働債権」の逆、
つまり、相殺しようといわれた方の債権を
「受働債権」といいます。
「自働債権」の弁済期が到来すれば、
「受働債権」の弁済期が到来していなくても
「相殺」はできる。
というフレーズが宅建の基本書に出てきます。
この表現は初学者を少し混乱させます。
結局これは何が言いたいかというと、
相手の支払い期限が来ていれば、
自分の支払い期限が来てなくても
「相殺しようぜ!」と提案できる、ということです。
言い出しっぺ自身は、
言い出しっぺ自身の債務(受働債権)
の返済期日が来ていなくても、
「相殺しょうようぜ!」と言えますが、
相手の債務(自働債権)の返済期日が来る前に
「相殺」を持ちかけることができません。
「自働債権」は、言い出しっぺの債権である一方、
相手の債務でもあり、
逆に、
「受働債権」は相手の債権である一方で、
言い出しっぺの債務でもある、
ということを意識しながら考えると、
理解できるかと思います。