「債権」は、人と人が約束(契約)すると発生します。
これが基本です。
多くの「債権」は「契約」によって生まれますが、
他の原因でも「債権」は生まれます。
その代表が「不法行為」です。
「不法行為」とは、
わざと(故意で)、またはうっかり(過失で)、
他の人に損害を与える行為です。
交通事故などをイメージすると
わかりやすいかと思います。
故意であろうが、過失であろうが、
「不法行為」をしてしまうと、
損害を与えた相手に対して、
その損害を賠償する「債務」を負います。
逆にいうと、害を与えられた相手は、
賠償を請求する「債権」を持ちます。
一口に「不法行為」といっても、
いろいろな種類の「不法行為」がありますが、
宅建試験によく出る「不法行為」は、
「工作物責任」と「使用者責任」です。
たとえば、建物の外壁や看板などが落下して、
通行人をケガさせたり、車をキズつけたりしたとき、
その建物を使っている人、あるいは所有者は
そのケガやキズを治す責任を負います。
からだのケガやキズだけでなく、
心のキズを治す責任を負うこともあります。
これを「工作物責任」といいます。
もう一つの「使用者責任」とは…
たとえば会社の従業員(使用人)が、
誰か他の人に何らかの損害を与えた場合、
状況によっては、その会社(使用者)も、
その損害を賠償する責任を負うことがあります。
これが「使用者責任」です。
会社の仕事の中で起きた「不法行為」については、
直接損害を与えた従業員個人だけでなく、
その仕事で利益を得る予定だった会社にも
責任を負ってもらう、というものです。
このような「不法行為」によって、
「損害賠償請求権」という「債権」が生まれます。