生産緑地地区は全国で1億3000万㎡あり、そのほとんどが指定解除されてしまうと大量の土地が売られ、それらが宅地化されてしまうと更に空き家問題に拍車をかけてしまいます。これが数年前から一部マスコミ等で騒がれていた「2022年問題」です。
これに対しては国も法律や制度を整えながら様々な対応をしてきました。例えば、「特定生産緑地制度」です。生産緑地の指定から30年経っても解除しないで、申請すれば指定を10年延期できる、という制度です。
指定条件も緩和され、これまでは500㎡以上の土地でなければ指定されなかったのですが、300㎡以上あれば申請できるようになりました。さらに、これまでは生産緑地内に建物を建てることは禁止されていましたが、条件を満たせば建物の建設も認められます。
しかし、都市部の農家の方々のほとんどが農業による収入よりも農地を宅地にして、賃貸住宅経営の収入で生活しています。都市営農者の70%以上が不動産所得であるというデータもあります。
それらを総合的に考えて、2022年以降は、新しいアパート、マンションの建築が例年より1割から2割ほど増えて、それに伴い空き家・空き室の増加に拍車がかかると予測されていました。
そうした予測の中、実際に2022年を迎えた現在、宅地がどれくらい増えたのかというと、まだ確かな統計は出ていませんが、3%ほどではないかと伝えられています。
予想よりも「特定生産緑地」として残った土地が多かったようですが、3%の増加という数字は予測よりは小さいとしても決して少なくない割合です。しかも、特定生産緑地は10年ごとに更新が必要ですので、2022年問題は、2032年、2042年に延長されただけ、という見方もできます。
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