連帯保証人の負担額が「極度額」を超えない場合でも、保証の対象とされない金額が発生する場合があります。たとえば、入居者が何ヶ月も前に破産していた、または死亡していたというときは、そのとき以降の家賃や損害賠償は請求できません。補償額は、入居者の破産や死亡の時点までだからです。
「保証人の負担がどんどん増えていたときに、途中で蓋をされていた」というイメージです。この蓋をするきっかけを「元本確定事由」といいます。この場合の破産や死亡のようなものです。
改正民法には、この「元本確定事由」が新設されました。
(個人根保証契約の元本の確定事由)
第465条の4
1.次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
一 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
二 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
三 主たる債務者又は保証人が死亡したとき。
2.前項に規定する場合のほか、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、次に掲げる場合にも確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
一 債権者が、主たる債務者の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
二 主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
これも適用されるのは「極度額」の設定と同様に「個人保証」のときのみに限られています。「家賃保証会社」を利用する場合は適用されません。
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