「敷金返還」と「原状回復義務」(敷金返還問題の分析)
賃貸住宅経営セミナー【No.39】

今すぐ始められる空き室対策【詳細編⑲】

「賃借人の原状回復義務」が明文化

 「敷引き特約」が認められた3つの判例は、大家さんにとって心強い見方でした。しかし、それでも「敷金」に関するトラブルが完全になくっているわけではありません。2020年4月に施行された改正民法でも「敷金」と「賃借人の原状回復義務」が明文化されています。

 

(賃借人の原状回復義務)

第621条

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 

(敷金)

第622条の2

1.賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。

一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

2.賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

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改正民法で「敷金返還」は難しくなったのか?

 ご覧の通り、改正民法では「原状回復義務」と「敷金」が明文化されました。「債務を担保する目的で交付する金銭はすべて「敷金」とみなされます。だから、「権利金」「保証金」などと名目を変えても、「敷金」として処理することになります。

 

 「原状回復義務」に関してもこれまでの判例が明記されています。つまり、畳の日焼けなどの通常損耗のメンテナンスは大家さんが負担してください、ということです。

 

 これだけ見ると「改正民法」によって「敷金返還」が難しくなったように思えます。しかし、これらの条文は、これまでの判例や、国交省等のガイドラインが明記されたに過ぎません。内容的にはこれまでと変わりはありません。だから、「敷引き特約」のような大家さんに有利な特約・条項が否定されたわけではないのです。

 

 ただ、無用なトラブルを避ける努力は必要です。契約書の内容やその説明など、賃貸契約の際にはこれまで以上に気を配る必要があります。

 

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