「3 つの柱」の最後に挙げた「経営力」の話から始めます。湯水のようにお金をつぎこめば、誰でもある程度の成果を出すことはできるはずです。しかし、それでは継続的な経営は難しくなります。コストを抑えて最大限の効果を発揮させるのが「経営力」です。
そこで、まず「節税」について考えます。大家さんにかかる税金をまとめました。
●賃貸住宅経営にかかる税金
① 所得税・・・所得にかかる国税
② 住民税・・・所得税に応じてかかる地方税
③ 個人事業税・・・個人事業主にかかる地方税
④ 消費税・・・商品・サービス提供などの取引にかかる税
⑤ 固定資産税・・・土地・建物などの資産にかかる地方税
⑥ 都市計画税・・・市街化区域内の土地・建物にかかる地方税
大家さんの所得は「不動産所得」に分類されます。事業規模(10 室以上または 5 棟以上)で経営していても「事業所得」ではなく「不動産所得」です。
「所得税」は国税です。これとは別に「個人事業税」を都道府県に納めます。「個人事業税」は大家さんだけでなく、すべての個人事業主に「所得税」に応じてかけられます。
「住民税」も「所得税」に連動しています。だから、「所得税」が上がれば「住民税」と「個人事業税」も上がります。逆に、「所得税」を下げることで「住民税」「個人事業税」を下げることができます。
「消費税」は事業用の家賃収入で売り上げが 1,000 万円以上のときにかかります。住宅用の家賃収入は基本的に非課税です。そして、「固定資産税」「都市計画税」については、税制による減税措置があります。
だから、節税の工夫ができるのは「所得税」です。「所得税」を下げれば自動的に「住民税」と「個人事業税」も節税できるしくみになっています。
家賃などの「収入」から経営に使った「必要経費」を引いて残った額を「所得」といいます。
「所得税」はこの「所得」に税率をかけて計算されます。だから、いくら「収入」が多くても「必要経費」が大きければ「所得」が小さくなり税金が抑えられます。