敷金トラブルを防ぐ契約書(賃貸住宅経営の経費削減術)
今すぐ始められる空き室対策【No.15】

敷金トラブルを避ける「賃貸人に有利な契約書」

意外と誤解されている「東京ルール」

 敷金トラブルは、出口(退去時)の問題ではなく、入口(契約時)の問題です。だから、たとえ賃貸人であるオーナーさんに有利な内容であっても、入居予定者にその契約内容をしっかり理解させることで、未然に敷金トラブルが起こる可能性を減らすことができます。現在、裁判等で認められている賃貸人に有利な特約・条項を以下にまとめます。

 

●通常損耗や経年劣化の修理を入居者に負担させる特約

●損耗、劣化の状態に関係なく、入居期間の長さで当然に修繕費を敷金から差し引く特約(敷引き特約)

●保証金や権利金の償却条項

●更新料条項・自動更新料条項・賃料の自動増額条項

●賃貸人が修繕義務を回避する特約

●造作買取請求権・有益費償還請求権を排除する条項

●予告期間の長い中途解約条項

 

 これらは東京都の場合、「紛争防止条例」いわゆる「東京ルール」が適用されて無効なのでは?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実は、これらが適用されるのはオーナーさんではなく宅建業者なのです。だからオーナーさんが入居者にしっかり契約内容を説明して、契約書に署名捺印してもらえばまったく問題ありません。

 

 ただ、この東京ルール対策として、このような特約を載せる場合は、以下の一文を入れておくと安心です。

 

「これらの費用は、本来甲(賃貸人)が負担すべきものですが、乙(賃借人)にご負担をお願いするために特約として記載しています。」

 

 セミナーなどでこのような話をすると、「そんな強気の契約内容では、入居する人がいなくなるのでは?」と心配するオーナーさんもいらっしゃいます。しかし、いつまでも弱気な契約で敷金を全部返していたら経営も不安定になり、物件力が下がり、その結果、入居者がいなくなって経営が不安定になる、という悪循環にはまってしまいます。

 

 もちろん「常識の範囲内で」ですが、敷金から修繕費用を差し引いて、しっかりメンテナンス、リノベーションをして、物件の魅力を上げて、入居者が住みたいと思う物件にして、経営を安定させる、というプラスの環境を作っていくことが大切です。

 

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