建設業許可を申請する際には、契約業務を常時行える営業所が実在し、機能していることを証明する必要があります。
これは建設業法施行令第3条に基づく規定で、単なる登記上の本店や資材置き場では認められません。
本店には建設業の経営経験豊かな常勤役員(経管)の存在が必要です。
また、本店以外に支店などで許可を取る場合は、各支店に統括責任者(令3条使用人)を配置することが求められます。
●営業所として認められるための4つの要件
① 契約業務を行う実体的な機能があること
見積、入札、契約締結などの業務を行っていることが必要です
② 独立した事務室が設置されていること
机、椅子、パソコン、帳簿などが備えられ、事務作業が可能な環境であること
※自宅兼事務所の場合は、居住スペースと明確に区分されている必要があります
※賃貸物件を事務所とする場合は、事業用で賃貸契約している必要があります
③ 常勤の責任者が配置されていること
本店には常勤役員が「経営管理責任者(経管)」としている必要があります
※支店には「令3条使用人(営業所の統括責任者)」の配置が必要です
④ 営業所技術者(専任技術者)が常勤していること
許可業種に対応した資格者または実務経験者が専任で従事していること
※現在は「営業所技術者」という名称が使われていますが、従来の「専任技術者」と同義です
●令3条使用人とは?
・建設業法施行令第3条に定められた「営業所の統括責任者」です
・営業所に常勤し、契約・見積・打合せなどの業務を統括する立場です
・法人の場合は、役員以外の従業員でも要件を満たせば認定されます
・個人事業主の場合は、本人または専任の従業員が該当します
●営業所の存在を証明する資料(写真・書類)
・建物の外観写真(営業所が入居している建物全体)
・入口の写真(表札・看板・ドアなど)
・ビルの案内板(テナント名が確認できるもの)
・事務室内部の写真(机・椅子・PC・プリンターなど)
・郵便受けの写真(商号が表示されていること)
・平面図・賃貸契約書(求められるケースあり)
●固定電話機の扱い(最新運用)
・従来は「固定電話機の設置」が営業所要件の一部とされていましたが、令和以降の運用では、電話番号があれば電話機本体の有無は問われないケースが増えています
・携帯電話への転送など、実態に即した営業形態が認められる傾向にあります
●注意点
・単なる登記上の本店や資材置き場、連絡所は営業所として認められません
・写真資料は「誰が見ても営業所とわかる構図」で撮影することが重要です
・営業所技術者や令3条使用人の常勤性は、勤務実態や雇用契約書などで証明する必要があります
【建設業許可クイズ】の正解:A