これまで以上に「消費者保護」が強化されます
会社経営のヒント【No.72】

「経営者はコドク」と思ったら読むコラム

「消費者契約法」改正のポイント

【令和5年の法律改正】

 

 事業者と消費者間で取引きするとき、専門的な情報や知識の量を考えるとどうしても一方的に消費者が不利になることが多いと思います。一見、お互いの自由意志に基づいて締結した契約でも、事業者側が事実と違うことを告げたり、知られたくない情報を隠していたりすると、消費者が不利益を被ります。

 

 また、昨年(2022年)4月から成人年齢が18歳に引き下げられたことで、18歳になると親の同意なしに契約が成立し、取消しができなくなってしまいます。さらに近年はECサイトなどで実物の商品を見ることも、事業者と対面することもなく契約が簡単に成立してしまうことで、事業者と消費者間のトラブルが後を絶ちません。

 

 そのような背景から、今まで以上に強力な消費者保護の必要性が高まっていたため、2022年6月1日に、契約の取消事由などを追加した「改正消費者契約法」が公布され、1年後の今年(2023年)6月1日から施行されます。

 

 今回の改正の大きなポイントは、契約の取消事由の追加です。現行法でも契約の重要事項について、事業者側が事実と違うことを告げたり、消費者の不利益になることを告げなかったなどのときは、契約の取消しが認められています。

 

 今回の改正法では、以下の取消事由が追加されました。

 

① 勧誘をすることを告げずに退去困難な場所に同行して勧誘した場合

② 第三者へ相談しようとする消費者に威迫する言動を交え、連絡を妨害した場合

③ 契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難にした場合

 

 ③についてはわかりにくいですが、たとえば、事業者が消費者に商品を見せるためにパッケージを破って開けてしまい、その商品を買わざるを得ない状況にして売った場合などが考えられます。

 

 今回の改正では他にも、「法令に反しない限り損害賠償の上限を1万円にする」というような賠償請求を困難にする不明確な一部免責条項(いわゆるサルベージ条項)が無効となったり、解約料の説明努力義務など事業者の努力義務が追加・拡充されています。

 

今回の改正によって、「知らないうちに法律違反を犯していた」ともなりかねません。また、消費者とのトラブルを避けるという観点からも、経営者の皆様は社内に消費者契約法の内容を周知し、コンプライアンスを高めておく必要があります。

 

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私自身も行政書士事務所を運営し、会社経営・マーケティングを学びながら、多くの経営者様の経営サポートをさせていただいております。

 

そのような経験やその中で考えたことをご紹介することで、少しでも組織経営のヒントをご提供できれば、と思いこの記事を書いております。

 

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