隣の「空き家」から伸びてきた枝の切除が可能になる
会社経営のヒント【No.68】

「経営者はコドク」と思ったら読むコラム

「相隣関係」に関する民法改正のポイント

【令和5年の法律改正】

 

 現在の民法では、隣の家から伸びてきた「根」は勝手に切っても許されますが、越境してきた「枝」は、隣の人に頼んで切ってもらうしかありません。民法を勉強したことがある人にはおなじみのルールです。

 

 しかし、隣の人が枝の切除に協力してくれなければ裁判によるしかなく、もし勝手に切ってしまって木が枯れるなど相手に損害を与えてしまったら損害賠償を請求されてしまうかもしれません。

 

 隣が所有者不明の「空き家」の場合は、裁判さえできず、越境した枝が伸び放題になっていてもなす術がありませんでした。

 

 そこで、今年(2023年)の4月から施行される改正民法によって、隣の人に頼んでも枝の切除に協力してくれなかったり、所有者不明の空き家だった場合は、勝手に切ることができるようになります。

 

 また、現在の民法では、境界付近で「障壁・建物の建造・修繕」をするときだけ隣の敷地を使うことが許されていますが、改正民法では、隣から越境してきた「枝の切除」のときも、隣の敷地に入ることが認められました。

 

 もちろん隣の敷地に入るときは、「通知」が必要で勝手に入ることはできませんが、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始したあと遅滞なく通知すればよい、となっています。

 

 ちなみに、越境してきた「根」については今までどおり勝手に切っても問題ありません。

 

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