【令和5年の法律改正】
日本では近年、人が全く住んでいない家、いわゆる「空き家」の増加が問題になっています。これは農村部だけの問題ではなく、都市部を含めた日本全体で住宅が余っています。総住宅数の13.5%以上が空き家になっていて、20年後には空き家率が30~40%になるという予測もあります。
空き家が増えている原因としてよく挙げられているのが「相続」です。実家である親の家を相続しても住むことなく放置し、相続登記もしていない場合、所有者が誰か?持ち分がどうなっているのか?わからなくなっている建物や土地も増え続けています。
たとえ相続登記したとしても、相続人がその実家にもどることはなく、その家を貸し出すにも初期投資が必要で、解体するにしても解体費がかかり、更地にしてしまうと固定資産税が上がる等の理由で、そのまま放置してしまっている、というパターンもあります。
相続人も不動産会社も管理していない「放置物件」は迷惑かつ危険です。草木が生い茂り、前面道路や隣の敷地に枝を伸ばしていても、今の法律ではそれらの草や枝葉を切除することができません。
シロアリ被害で建物が倒壊する危険もあり、犯罪者の温床になる可能性もあります。「空き家」の近隣に住む人たちは毎日、不安と不満をかかえていますが、手を出すことができません。そのような「空き家」の存在は、迷惑で危険なだけでなく、「土地の活用」という観点から考えても社会的な損失です。
そこで、そのような「空き家」をできるだけなくし、財産として利活用しやすくするため、段階的に法律や制度が整えられています。今年(2023年)も大きな動きが予定されていますので、これから数回に分けて「空き家対策としての法律改正」について解説していきます。
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