【令和5年の法律改正】
「遺伝子組換え食品」というと、何だかカラダに悪そう、というネガティブなイメージがあります。「遺伝子組換え」は偶然に期待する交配による「品種改良」とは異なり、もともと自然界になかった新たな植物を意図的に生み出してしまう技術なので、なんとなく「不気味」な印象をもってしまいます。
「遺伝子組換え」を行うことで、農薬や害虫に強い品種や成長が早い作物を作ることができるので、農作業の効率化を図り、食品の価格を安く抑えることができます。しかし、農薬や害虫に強い新しい植物が生み出されると、それらの自生や、さらに耐性の強い害虫の発生などによる生態系への悪影響が懸念されます。また、そのような食品による「健康被害」の可能性も指摘されています。
だから食品表示法に基づいて「食品表示基準」というルールが定められていて、その中で「遺伝子組換え」の作物を使用している食品には「遺伝子組換え」をしていることを表示する義務が課せられています。これはすべての作物・加工食品が対象で、この「義務表示」に関しては今後も変わりなく継続されます。
一方、この「食品表示基準」では、大豆・とうもろこし・それらを原材料とする食品を対象として、それらが「遺伝子組換えでない」場合はそのことを表示してもよい、とされています。これは「しなければならない」という義務ではなく「してもよい」という任意の表示です。この「任意表示」が今年(2023年)4月1日から変更されます。
「遺伝子組換え」をしている農作物としていない農作物を生産・流通・加工の各段階で混じり合わないように管理することを「分別生産流通管理」といいます。現制度では、この「分別生産流通管理」をして、意図しない混入を5%以下に抑えている大豆・とうもろこし・それらを原材料とする食品は、「遺伝子組換えではない」「非遺伝子組換え」という表示ができます。
今年(2023年)4月からは、「分別生産流通管理」をした大豆・とうもろこし・それらを原材料とする食品のうち、まったく混入がない場合だけ「遺伝子組換えではない」「非遺伝子組換え」の表示ができます。もし少しでも混入があった場合は、5%以下であれば「分別生産流通管理済み」「適切に分別生産流通管理された」などの表示となり、混入0%の食品とは区別されることになります。
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