会社経営や組織運営において、人材育成と人材評価は経営者の重要なタスクのひとつですが、等身大で人材を評価するのは本当に難しいものです。たとえば、「有名私立大学を卒業」とか「英語が話せる」と聞くと、一般的に「知性の高い人物」という評価をしてしまいがちです。
「有名私立大学卒業」といっても、小学校からエスカレーター式で入った、あるいはスポーツ推薦だったかもしれませんし、「英語が話せる」だけで、その他の知識はそれほどでもない、ということも考えられるのですが、「有名私立大学卒業」「英語が話せる」という特徴に引きずられて、等身大以上の評価をしてしまいがちです。
逆に、今の例でも、「エスカレーター式」「スポーツ推薦」だからといって、知性が高くないわけではないのですが、そう聞くとなんとなく等身大以下の評価をしてしまうこともあります。
このように、一部の特徴に引きずられてバイアスがかかり、全体の評価を歪められてしまうような心理現象を「ハロー効果」といいます。ハロー(halo)とは聖人の頭上などに描かれる後光や光輪のことで、「後光効果」あるいは「光背効果」とも呼ばれることもあります。
実際より高い評価をする現象を「ポジティブ・ハロー効果」、実際より低い評価をする現象を「ネガティブ・ハロー効果」といいます。企業や政党が高感度の高いタレントをCMや応援演説で起用するのは「ポジティブ・ハロー効果」を狙ったものですが、逆に、そのタレントが不祥事を起こすとすぐに降板させるのは「ネガティブ・ハロー効果」を避けるためです。
「いい商品・いいサービスだから売れるわけではない」と言い続けている理由には、この「ハロー効果」の影響もあります。商品・サービスを提供する企業の印象は、この「ハロー効果」によって、良くも悪くも「売れ行き」を大きく左右します。
特に現代はSNSでどんな小さな情報でもリアルタイムで拡散されてしまいます。だからこそ経営者は、「良いウワサより悪いウワサの方が広がりやすい」ということを意識して、コンプライアンスを重視する必要があるのです。
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