あなた自身が買い物をしたとき、「なぜ自分はそれを選んだのか?」を分析する習慣をつけることで「お客様の視点」が見えてくる、というのが前回の内容でした。つぎのステップでは、「なぜお客様があなたの商品・サービスを選ぶのか?」を考えます。
経営コンサルタントといっしょに事業計画等を立てる際、「御社の強みは何ですか?」と質問された経験はありませんか。いわゆる「SWOT分析」というやつですが、私が事業計画作成のお手伝いをさせていただくときは、「御社の…」ではなく、「あなたの…」つまり経営者様自身の強みから始めます。会社を分析する前に会社を動かす「人」の強みを知るわけです。
ただ、いきなり「あなたの強みは何ですか?」と聞いて、「いや、私の強みはですね…」とスンナリ答えられる方はそれほど多くありません。そこで、経営者様自身も気づいていない「強み」を引き出すために、「自分の棚卸し」というのを行います。要するに、過去の自分の記憶を手繰り寄せるお手伝いをするわけです。すると、潜在意識の中に隠れていた自分のバックボーンや経営のベースになる強みなどを顕在化することができ、自分がなぜその事業に魅力を感じ、何を目指していたのかを意識することができます。
それが他社と差別化する材料、いわゆる「強み」となり、「お客様が自分の商品・サービスを購入する理由」のベースとなるのです。
「自分の棚卸し」の方法を簡単に説明すると、10年前、20年前、を思い出していただきながら、「自分自身がどういうスタンスに立ち、周りからどのように見られ、どのような期待を背負い、どのようにふるまっていたのか?」などの質問に答えてもらう、というものです。
なんとなく「儲けたい」とか、「社長になりたい」という野心から事業を始めた、と思い込んでいる経営者様が「自分の棚卸し」をすることで、無意識の中にあった「経営の動機」に気づき、それが会社の「強み」となり、「お客様に選ばれる理由」につながっている、というパターンは少なくありません。