一昔前のテレビCMで、「めちゃめちゃ高いから、絶対買うなよ♪」といってヒットした「もやし」がありました。人は、「やるな」と禁止されたり制限されるとストレスを感じて、逆にやりたくなる、という心理が働くそうで、これを「カリギュラ効果」といいます。
ローマ帝国の皇帝カリグラをモデルにした「カリギュラ」というアメリカ映画が語源で、あまりにも残酷で過激なシーンが多かったのでボストン市内では放映禁止になったところ、それに反発した多くの市民がボストン郊外の映画館まで足を運び大ヒットになったことからこの名前がつけられました。
玉手箱をあけてしまった「浦島太郎」や、機織りの様子をのぞいてしまった「鶴の恩返し」などいくつかの昔話でも「カリギュラ効果」が見られます。「押すなよ、押すなよ」といって押してもらう、いわゆる「フリ」もこのカリギュラ効果を利用したものですね。
マーケティングでは、新商品を売り出すときに「売れすぎて生産が追いつかず、出荷休止」を触れ回ることで消費者の関心を引いたり、「期間限定」や「お一人様1箱まで」などの制限を加えることがよく行われています。建築業界では広告に「家はまだ買うな!」という禁止を全面に出したキャッチで注意を引く手法がはやったこともあります。
ただ、これもやりすぎると、嫌みになったり、底の浅さを露呈してしまうこともあるので、禁止したり制限する理由に納得感があることが前提となります。小手先のテクニックを真似するだけでは逆効果になることもあるので注意が必要です。
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