たとえば、もしあなたが家を購入するために、不動産業者の案内で候補となる物件の内見に行ったとします。最初に見せてもらった物件が立地も、価格も、間取りも、住宅設備も、条件にピッタリだったとしても、あなたはおそらく他の物件も見て選びたい、と思うでしょう。
人は、何かを買うときは、比較の対象となるモノサシがなければ決断ができません。日頃からよく買っている日用品などに関しては、おそらくモノサシができているので、それほど比較することはないと思いますが、住宅など頻繁に買うものではない、特に高価なモノに関しては100%比較して選びます。
商品・サービスを3段階ほどのグレードに分けて提供する、という手法は、この「比較」の習性を利用したものです。ご存じのように日本では、昔から商品・サービスを「松竹梅」にランク分けして売る、ということをしてきました。
基本的には二番手の商品・サービスが選ばれやすいので、一番手、三番手をおとり商品として利用することが多いのですが、選ばれる場面によっては、一番手、三番手に偏ることもあるので一概には言えません。
また、「お客様は比較が好き」とは言っても、あまり選択肢を増やしすぎると、逆に選ぶこと自体がストレスとなり、売れなくなる恐れも出てきます。人の脳は、適度な刺激を超えるとラクをする方向に向かう習性があるようです。
選択肢の数に関しても価格設定に関しても、一概にどれくらいがいい、という「正解」はありませんので、試行錯誤を繰り返しながらあなたの商品・サービスに合わせて設定してみましょう。
←prev.【No.26】高価格が「付加価値」になることもある