創業時の融資額は「自己資金」の額だけで決まるわけではありません。貸す側が気になるのは、やはり借りる側の「信用」です。もちろん、「自己資金」の額もその信用の一つです。これまでコツコツとお金を貯めてきた、という事実は、借り手のお金に対する誠実さ示すからです。
ただ、借り手の信用を計る要素は「自己資金」だけでなく「能力」も大きく左右します。「能力」とは、ずばり、お金を増やすことができる「経営能力」です。しかし、貸す側からすると、これから創業する人の「経営能力」を計るのは難しいので、ある程度実績のある経営者と比べると、はやり創業融資の額は低くなってしまいます。これから創業する経営者の場合は、「経営能力」というよりも、これから参入する業種での経験や知識が見られます。まったく経験のない、または経験の浅い業種での開業だと、大きな融資は期待できません。その業界で6年以上の経験がある、または大学でその業界の専門分野の勉強をして2年以上の実務経験がある、といった場合、極端な話をすると、自己資金0円でも融資がおりる可能性があります。
経験や知識以外でも、その業界での許認可や資格を取得していることも融資を受ける上での利点となります。たとえば、これから建設業を経営していこうとしている経営者が、建設業許可や産廃収運業の許可を持っていたり、不動産業を開業する経営者自身が専任の宅建士の資格をもっているとかなり有利に進めることができます。許認可や資格という肩書は「社会的信用」とい面で大きく後押しをしてくれるからです。
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